猫のいる生活

捜索の顛末 その2: 5か月ぶりの再会と別れ

親切なご夫婦の餌付けによって、
私は、その晩ぴりかに会うことができました。

張り込みをはじめて4時間余り・・・
午前4時過ぎにぴりかが餌を置いてある場所に出現

すっかり野生化していて捕まえるどころではありませんでしたが、
名前を呼び、根気強く手をさしのべていると、次第に距離をつめ、
私の手のニオイを嗅いで、ほんの少しだけ額に触らせてくれました。

間違いなく、ぴりかでした。

ほどなく夜明けが近づき、
餌を全部食べることを諦めて
失踪地点付近の藪へ静かに戻っていく姿を見送りながら・・・

   あぁ・・・行っちゃった・・・
   でも、生きてたんだね・・・偉いね、ぴりか・・・

この日の朝、ほぼ徹夜明けで高速を飛ばして自宅へ・・・

ぴりかが生存していたことへの喜び、
5か月も山の中で生存し続けた生命力や、
生かしてくれた現地の自然への感謝、
“ぴりかは戻ってくる”という根拠のない信念、
保護できなかったら・・・という不安・・・

複雑な想いを抱きながら、
眠気覚ましに適当に選んでかけたCDはなぜかスキマスイッチ・・・

ある曲がかかったとき、
ぴりかの眼が私に近づいてくるような気がしました。

それまで一度も耳に残らなかった曲でしたが、
『え?何て言ってるんだろう??』とはじめて歌詞を聴く気持ちに・・・

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冬の口笛より

♪ 吐く息が白く光るとケムリみたいってはしゃいだ
  ほら そのしぐさで 今年も僕に舞い降りる

響く音色は 冬の口笛
途切れないようにあたためていこうふたりで

・・・

形の無いものは確かに信じるのは難しい 
でも君がいれば きっと木枯らしにも勝てんのさ

肩をよせあい凍えず実るくちなしの下で
君の手をそっと握るんだ

淡い雪のように とけないで つぶされないで
僕らの季節はこれからも続く・・・

・・・♪・・・

ひびく~ ねいろは~ ふゆ~の口笛
と~ぎ~れない~ように~  あた~ため~ていこう

つなぐ・・・wooo 心が温もるuuu ♪
降り積もる奇跡 拾い集めて こぼれないように持っていこう
これからもふたりでずっと・・・

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以後、この曲が、高速道路の車窓とぴりかの面影とともに
私の頭に繰り返し蘇るようになりました。

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