猫のいる生活

捜索の顛末 その3: 生存確認から保護まで

9月下旬の生存確認を境に一番変わったことは
キャンプ場関係者の意識でした。

保護に有効な情報(フンや足跡の情報、野生動物の動向、
キャンパーからの目撃情報など)への感度が上がったのです。

キャンプ場は10月いっぱいで無人になるので、
なんとか、人の眼のあるうちに保護したいと思い、
10月の3連休に現地で張り込むことを決めました。

そして・・・
ぴりかの最初の保護主さんに
ぴりかが生きていたことを伝えました。

応援をもらいたいという思いではありませんでした。
とにかく、ご心配をいただいているだろうと思って、
生きていたこと、保護の望みがつながったことをお伝えしたい一心だったのですが・・・
なんと、遠隔地なのにもかかわらず、実働でご協力下さったのです。

猫の保護方法に関する情報収集、捕獲器の調達をはじめ、
平日に現地に入り、捕獲器の作動状態と現地の様子について
具体的な情報を下さいました。

これが保護の体制を整備するのに最も役立ちました。
この方の援助が得られなければ、保護できたかどうか・・・

さらに、捕獲器の仕掛け場所の判断や、保護に失敗したときに
次の保護活動を一歩成功に導くための危機管理に力を入れました。
(ぴりかに“怖い”ということを学習させないことなど)

ぴりかの動向をうかがわせる断片的な情報を重ね合わせ、
明るいときに現地の調査をして捕獲器の仕掛け場所を入念にチェック

野生動物のフンを観察し、
どんな動物が入っているかキャンプ場の管理人さんに相談して、
ぴりかが怖がる野生動物(シカ・キツネなど)が入っているエリアを特定・・・
捕獲器を仕掛ける場所を厳選していきました。

これまでの失敗経験や、
接触したときのぴりかの状態から予測される行動パターン、
私たちが現地に入るまでに餌付けし連絡を下さったキャンパーが存在したこと・・・

すべての条件が重なって、保護の決め手となる瞬間を迎えました。

10月9日18時頃、
市街地で買い物を終えてキャンプ場に戻ったとき、
数人のキャンパーがセンターハウス脇を指さしてみていました。

もしや・・・と、指が示す方向に視線を移すと、
そこにぴりかが座ってこちらを見ていました。

名前を呼び、しゃがんで小さくなり、
ニオイの強いウエットフードを取り出して、
「ごはんだよ、おいで」と声をかけました。

ぴりかは低い姿勢になって鼻をクンクンと動かしながら
近づいてきました。
鋭くうつろな眼をしており、
まるで顔面全体が鼻になってしまったかのように、
嗅覚をたよりに敏感に反応していました。

私の手からフードを2-3口食べたとき、
後ろから近付いた夫の足音に怯えて逃げ去りました。

食べ残しのフードを使って、
逃げ去ったコースの脇にあった物陰に捕獲器を1台、
その他、周辺に2台しかけ、
少し離れたバンガローで張り込みもしました。

もちろん火をたいて、ホッケをあぶり、ニオイをたてながら・・・

すると、
午前3時をまわった頃、捕獲器をしかけた方向で、
“バン!!!”と強い音がしました。

私と夫は顔を見合わせました。

少し間をおいて、ガシャガシャ・・・という音も・・・。

          “かかった!”

しかし、万一ぴりかではなかった時のことなど、諸々のことを
想定し、すっかり夜が明けるまで、見に行かずに我慢しました。

そして、5時をまわり、すっかり明るくなってきた頃、
捕獲器の中にいるぴりかと対面しました。

捕獲器の中では狭くてかわいそうでしたが、
危機管理上、ケージに移さず、そのままの状態で車に乗せ、
撤退準備を整えました。

9時に現地を後にして、お昼頃に動物病院到着・・・。
夕方、我が家に戻ってきました。

奇跡が起きた・・・そんな感じです。

今も、PC右そでの気に入り場所で、脚を投げ出して寝ています。

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